高齢者のむくについて3
高齢者のむくみシリーズ最終章です。
長々とすいません。kokohanaの木下です。
最後は一番気になるテーマですね。日常で安全にできる、むくみのケアのいろいろです。
4、安全にできる、むくみのケア
1)スキンケア
なぜスキンケア?から??と思われるでしょう。
これは、むくみがある、なし、。子供、大人関係なく、健康の基本なのです。
皮膚というのは外からの異物の侵入や攻撃から体をまもってくれ、身体の中の水分が蒸発するのを
防ぐという、バリア機能があります。その中で一番表面を覆っている角層で、角層表面の皮脂膜が
役割を果たしています。
バリア機能が低下すると、表面は乾燥して、皮膚がうろこ状になったり、亀裂が入り乾燥肌となります。
表面近くまで、痒みを感じる神経線維は伸びて外からの刺激に敏感になり、ちょっとした刺激で
痒くなり肌を掻いて、炎症を起こします。
肌の正面は善玉菌の表皮ブドウ球菌と悪玉菌の黄色ブドウ球菌がバランスよく住んでいます。
善玉菌は弱酸性を保つことにより悪玉菌の住みにくい環境を作っています。
ところが、バリア機能が低下してくると、皮脂の状態が悪くなり、アルカリ性に傾きます。
すると悪玉菌が増殖し外界からのウイルスや細菌が侵入しやすくなり、皮膚疾患を
起こしやすくなります。
皮膚を清潔に肌環境を良くするのは、皮膚疾患を防ぐ最大の武器なのです。
方法は洗浄と保湿です。
方法・・・角質層は顔で0.03~0.05㎜と大変薄くデリケートです。
ゴシゴシこすったり、1日に何回も洗浄液で洗うのはバリア機能を低下させます。
弱酸性の洗浄剤の泡洗浄がお勧めです。ちなみに透明な石鹸以外の色のついた一般的な石鹸は
アルカリ性です。殺菌力が強いですが皮膚トラブルのある方には刺激が強いと思います。
また、軟こうを塗られている方は、お湯だけでは落ちません、優しく泡洗浄をしてしっかり
古い軟こうを落とさないと効果的な治療とはなりません。
洗浄液を流すシャワーの圧にもご用心を!強い圧は痛んだ皮膚には特に負担をかけてしまいます。
一回、手にバウンドさせたお湯で流してください。
タオルのふき取りもこすらず、押し当てて水分をふき取ってください。
そして、入浴後は出来るだけ早く保湿クリームを塗ってください。
2)軽いマッサージ
血行を良くすることはとてもむくみに良いです。
血行には2種類あります。心臓から体の隅々に送る動脈と隅々から心臓に戻す静脈。
むくみが起こるのは静脈の血行障害の時です。血行改善のお薬は大部分は動脈の血行を
良くするものなので、むくみには効果があまりないです。
静脈は皮膚から透けて見える血管です。足先から、心臓に向かって関節後と区切りながら
皮膚を引っ張らず強く圧をかけず優しくさするのが良いです。
ボッダー式リンパドレナージはとても適しているのです。
*血栓、重度の静脈瘤、感染症、炎症のある時は禁止です。
3)運動
高齢者は個人差が大きいので一概には言えませんが、運動活動が低下傾向にあります。
そして、身体の機能的に低下傾向です。人によっては持病による合併症や後遺症が加わることもあります。
しかし、ご本人、がまたは周りの方のお手伝いにより運動することは機能維持や向上させることは可能です。
リハビリなどにより、専門家にしていただくのはとても大切でありますが、毎日、身体を動かす事は
何よりも効果があります。血行改善、筋力アップ、その他にも、精神的にリフレッシュ出来たり、
活力となったりと相乗効果は計り知れません。
安全に日々、どこでもいつでもできる運動を繰り返し行うことが一番の運動です。
個人の能力に応じて安全にできる運動、実は日々の中で沢山あるのです。
例えば・・・手の指がむくんでいる方
じゃんけん、万歳、手をぶらぶら、肘を曲げて力こぶを作る。などなどいいですよ!
足のむくんでいる方
個人の能力に応じて無理なくすることをお勧めします。立ってふらついたり、座ってお過ごしの方は座って
地面に足を着けての足踏み!最高に良いと思います。
起き上がることが困難な方も体位を変えたり、介護者の負担になることを加えるのではなく、
現状で出来る、無理のない運動を探すのも続けられる要因です。
足先を伸ばしたり曲げたり・・膝を曲げたり伸ばしたり・・そのような事も立派な運動です!
*重度の静脈瘤、血栓症、感染症、炎症のある時は禁止です。
4)軽い圧迫
むくみに関して、日々気を付けていても・・・また、身体の機能上、セルフケアが出来ない方であっても・・・
地球上のいるならば、重力からは逃げることは出来ません。そのような中で一番効果があると言っても
良いかもしれないケアが軽い圧迫(足首15mmHg,むくみ予防で10mmHg)です。
方法はというと軽い安全な圧迫を常に重力のかかってくる足にかけるというものです。
つまり軽い圧のかかるハイソックスを着用することです。
それは、運動低下のある高齢者は筋ポンプ作用を助けてくれて、血管から血液が染み出すのを
少なくしてくれる働きがあります。起きて過ごす日中のむくみ防止にはとても有効です。
*血栓が出来ている、炎症がある、傷がある、心不全のある方は圧迫を出来ない場合があり要注意です。
*圧が強ければよいというものではありません、強いと皮膚や神経、血管を痛める恐れがあります。
(安全な軽い圧迫療法)
リンパ浮腫の治療用の弾性着衣の各メーカーから緩和や高齢者に向けた商品が、出ています。
リンパ浮腫でのノウハウが詰まった商品です。
一番怖いゴム部分の食い込み(輪ゴムを手首に着けた時のようになって
足から心臓に向かおうとする流れを止めてしまい、余計にむくませてしまう)をしない工夫や、安全な圧、
素材など一般的に売っている商品とは違うのでそちらをお勧めします。
ただ、一般的に売っていないのでネットなどで調べて直接、メーカーに問い合わせが必要です。
*血栓症、重度の静脈瘤(軽い静脈瘤は推奨)、感染症、炎症の方は禁止です。
むくみはどこにでも、だれでも起こりうる症状です。
病的におこっているむくみに関しては原因を取り除かないと症状をとることが出来ませんが、
それ以外の付き合っていかないといけない、仕方のないねの状態のむくみ・・・
体の中でどうなっているのか?どうなる恐れがあるかを知っておくのはとても大切です。
そして、手立てを知っている、と知らないとででは大きな差が出てくように思います。
今回、書き込んだものは一例です。
その他、日々の工夫で出来る事はたくさんあります。
毎日、苦痛な症状から解放され、快適に過ごせるお手伝いが出来たなら幸いです。
安全に負担なく楽しく出来るのが最大のポイントです。
参考文献 リンパ浮腫がわかる本 著 廣田彰男 重広 宏 佐藤康彦
長い長い記事をお読み下さって、ありがとうございます。